個人事業者はたいてい事業用で銀行などから借金をしていると思いますが、同時に資産もあるわけです。
借金を相続したくないばかりに相続放棄してしまうと、財産も引き継げなくなってしまいます。
もしも借金も財産もどちらもいらないということなら、「相続放棄」でいいと思います。しかし、一部の遺産は相続したいけれど、事業の借金は事業を引き継ぐ子だけが相続し他の相続人は事業の借金は負いたくないという場合もあると思います。
そんな財産を相続したいケースだと遺産分けの話し合い(「遺産分割協議」)をすることになります。
遺産分割協議の中で、財産をだれが相続するか借金をだれが負うかについても話し合いはできます。
この話し合いがまとまれば、財産は相続人間で決めたとおりに分けることができます。
ただし、借金については債権者があることですから、いくら相続人だけで話し合いができていても、債権者が承諾しなければ借金は相続人全員が法定相続分に応じて負担することになってしまうのです。
遺産分けの話し合いに債権者は加われないので、債権者に対しては遺産分割の話し合いの途中か話し合いが済んだ後で相談してみる必要があります。
相続人は銀行等金融機関に相続がありましたと届け出て、以降は事業を引き継いだ子が負担しその他の相続人は借金を負わないということにしてほしいという内容で相談をかけてみてください。
事業が順調であれば、金融機関は相続人からの申し出に応じてくれることも多いです。あくまでも金融機関側の審査によりますので、必ずそのような免除が得られるわけではありません。
ですから、相続する財産の価値と負担しなければならない借金の額などを見比べたり、銀行側が免除してくれそうかどうかなどの要素も考えながら相続放棄するか、遺産分割の方法をとるか決めるしかなく、専門家のアドバイスが必要になると思われます。
遺産の分け方から相談したいときは→遺産承継業務